活字好きの本のお話

図書館や大好きな本の話、読んだ本の感想など、駄文で綴ってまいります。

指輪物語

最近、CSの映画チャンネルで、
映画『ロード・オヴ・ザ・リング』全3作をよく放映しています。
全作分のDVDを所有しているのですが、
大好きな作品なので、ついつい見はまってしまいます。
買った当初はまだ小さかった我が子達も、
成長するとともに、ストーリーが少しずつわかるようになり、
今では一緒にこの作品を楽しむ事が出来るようになりました。


この映画が劇場公開されるにあたり、
公開前に原作を読破してしまおうと意気込んだのが、この私。
当時まだ追補版は出版されていなかったとはいえ全9巻…。
かなりの巻数ですが、この内容の面白さに巻数など忘れてしまう程。
全巻を1ヶ月半くらいで読んだかと思います。
(私にしては異例の速さです、これ)


お話の面白さは当然のことですが、
この作品の作者、トールキン自身も大変興味深い人です。
元々文献学者・言語学者として活躍していた彼です。
原作『指輪物語』英語版の中では、
自分で作り上げた人工言語を駆使していると、
英語版まえがきに書いてあり、びっくりした事を覚えています。
つまり、日本語版は翻訳時に、
彼の作品における通過儀礼のようなものを既にクリアしてるわけです。
かえってオリジナル言語で読む方が大変ということになります。
そこまで言語に執着する点に、まず私は惹かれました。


仕事の関係で、エスペラント語の資料を扱っていた時、
ふと、トールキンの名前を見つけた事があります。
彼はエスペラント語の学会に出席していたと、
何処かで読んだ事もあります。
エスペラント語にインスパイアされたのかどうかは分かりませんが、
人工言語を取り扱う者という共通点はありますよね。


ザメンホフは、人種や民族間の言語の違いが衝突を生むため、
世界共通のコミュニケーション言語として、
人工言語エスペラント語を作ったそうです。
トールキンが作った人工言語が、
”中つ国”と称された世界の共通言語として作り上げられたのなら、
もしかすると志は、ザメンホフと近しいものがあったのかな…
なんて、勝手に思ってしまったりもするわけです。


単にストーリーだけでなく、
彼が手がけた言語面や、彼自身の背景から、
この作品を見つめ直すと、もっともっと興味深いものになると思います。
この『指輪物語』に加え、『ホビットの冒険』『シリマリルの物語』など、
一連の”中つ国”の物語を読んで、
彼の世界観を感じるのもいいんじゃないでしょうか。
この”中つ国”のお話の壮大さは、
スターウォーズにも匹敵するような気がします。
皆さんも是非、手に取ってみてください。
勿論、映画もね。


(2010年2月25日記載)