活字好きの本のお話

図書館や大好きな本の話、読んだ本の感想など、駄文で綴ってまいります。

読了いたしました

ふふ~ん、読了しましたよ、この1冊。

 

 

最初はどうなることかと思いましたが、

中盤以降、なかなか面白いことに。

スラングの多さが気になっていたんですが、

巻末の訳者である柴田元幸氏のあとがきによれば、

スラングが多いような印象だが、実は原文ではそれほどではない、とのこと。

元々、パルプという粗悪な紙質で出版される大衆小説なので、

スラングが出てきて当然。

それから比べたら、と考えるべきだったかもしれません。

 

兎に角奇々怪々。

文章もそうですけど、登場人物も、各々の行動も奇々怪々。

言葉の表現自体も特徴的で、何となく感じはしていたものの確信がなく、

ネットで調べてみたら、やはり詩人だった。それでひどく納得しました。

 

読み進めながら訳が分からず、でも止められず読了した、

そんな経験があったかどうか、記憶をたどってみたら、思い出しましたよ。

学生自分に読んだ『イリアス

 

 

これです、この感じ。

時代設定も状況も全く違います。

でも、詩的な表現、いろんなところをさまよい歩き、

幻想とも現実ともわからぬ風景を想像させる。

私には抒情詩のように感じられました。

 

主人公は英雄ではありません、そんな振りはしてるけれど。

でも、何かに対して下手なりに対処しようとします。

でも相手は幻のような存在で、しかも最後に分かりますが死神もいたりして。

そんな周囲のきまぐれに、主人公の人生が翻弄されるとか、

神の気まぐれなんかで翻弄されるギリシャの人々みたいで、

それはそれで面白い設定じゃないかと。

 

でも、これ1冊だけではこの作者の面白さは分からないのかもしれない。

他の作品も読んでみたくなりました。