逃げ込んだ先
昨日、帰りの乗り換え駅で電車を待っていると、
全く初対面の初老の女性から声を掛けられ、
電車に関する質問だけかと思ったら、
延々とプライベートの話をし始めたから、弱ってしまった。
こちらが息子とLINEをしているのなんて、全くお構いなし。
息子との遣り取りの方が、私にとっては重要なので、
中途半端な返事しか出来ないのも、これまたお構いなく、
その女性は一方的に話しかけてくる・・・。
「私は普通に乗りたいの」
いや、私だって乗るのは普通です。
しかし、最寄の駅までこの調子で来られるとやりきれない。
目の前に入ってきた急行に、思わず飛び乗ってしまった。
本当はこんな事、しちゃ駄目なんだよな・・・。
もっと優しい人間にならなくちゃ、と思っても、
聞いては不味いような銀行関連の話とか、
やっぱり付き合いきれない・・・。
特にお年を召した方の貯蓄の話とか・・・
急行の停車駅で一旦下車して、小さな書店に飛び込んだ。
いや、「本を探すのよ。」を言い訳に逃げ込んだ、が正しい。
折角入店しても、罪悪感でまともに本が見られない。
サラッと雑誌の表紙を眺め、ちょっと気持ちを落ち着かせて、
手芸のコーナーで編み物の本を物色してみた。
駅の書店、そんなに種類がない。
仕方ないか、入店の動機がアレだから。
頭上から聞こえる電車の通過音。
何本の電車をやり過ごしただろう。
何の収穫もなく、単に時間をロスしただけだった。
やっぱり、駄目だな。