活字好きの本のお話

図書館や大好きな本の話、読んだ本の感想など、駄文で綴ってまいります。

文字は違っても


カタロガーをやっていた時代、
私は洋書を専門としていたわけですけど、
本当に、この地球上に、色んな言語がある事を知りました。
自分が主として担当していたのは、ローマン・アルファベットの言語、
英語やフランス語など、欧米あたりで使用されている言語、
それらを相手にしていました。


その文字だけでも、かなり沢山の言語があるのに、
文字が変わると、更に増えていく・・・
ギリシャ文字、キリル文字(ロシア語等)、ヘブライ文字
アジアに移って、アラビア文字デーヴァナーガリー
チベット文字、ビルマ文字、クメール文字、ジャワ文字・・・


運が良いのか悪いのか、
このような文字に出会える環境に身を置いていました。
勿論、初めて目にしたときはさっぱり分からない・・・
分からないからやりたくない、担当したくない・・・
『私にはまだやる仕事が別にあります』
なんて生意気な事を言って、何とか担当から逃れていましたが、
とうとう・・・やらねばならぬ時が来ました。


最初はビルマ文字・・・相手はビルマ語でした。


作業を手伝ってくださったミャンマー出身の女性と一緒に、
どのくらいでしたか・・・約3ヶ月、みっちりビルマ語漬けでした。
翻字の仕方、辞書の引き方、人名の特徴など、
本当に丁寧に教えて頂いて、私も少し自信がつきました。


そうなると、後は度胸なんですよね・・・。
ある意味、ビルマ文字との遭遇は、
私にとって異文字アレルギー克服の突破口でした。


チベット語をやると、サンスクリットが自ずと出てくる。
サンスクリットを調べようと思えば、デーヴァナーガリーがついて来る。
ビルマ語の作業でであった単語の中に、
パーリ語を起源としたものが沢山ありますが、
これが実はサンスクリットと酷似していて、
双方が経典を元に発達した言語だという事が分かる・・・。
そうなると・・・仏教を信仰するアジア一帯の言語、
これらの言語に共通した単語が沢山あることに気がつくのです。
文字は異なっていても、信仰や思想を表わす単語は結局は同じ・・・。
単に表面的な部分が異なっているだけで、
同じ単語を同じ音を連ねながら使っている、
それが私にとっては何とも新鮮な感覚、新発見でした。


日本語の中にも見受けられますよね。
お寺のお坊さんが唱えるお経も、あれは実はサンスクリットです。
単に漢字をあてているだけ・・・大袈裟に言ってしまえばそうかな。
サンスクリットの場合、文字はない、と教えて貰いました。
あれは言語であっても、特定の文字を持たない・・・
だから、チベット文字のサンスクリット
デーヴァナーガリーサンスクリット(これが現在一般的)、
そして漢字のサンスクリット、アルファベットのサンスクリット
という風になるわけです。


こんな風に、はるか昔、言葉は国境や民族、価値観とか、
そういうのに全くかまう事無く広まっていってるんですよね・・・。
沢山の共通項があるはずなのに・・・
今はどうしてこうも争ったりするんでしょうね。


(2010年2月6日記載)