活字好きの本のお話

図書館や大好きな本の話、読んだ本の感想など、駄文で綴ってまいります。

戦闘機

今、通勤の電車内や、就寝前にこれを開いている。

 

永遠の0 (講談社文庫)

永遠の0 (講談社文庫)

 

メディアの色んな評判・書評、知り合いの感想など聞いて買った本だから、

勿論、これが戦闘機乗りの話であることは分かっている。

 

熱狂的な飛行機ファン、というわけではない。

たまたま好きなキャラが扮する飛行機乗りが複葉戦闘機に乗る。

そこから、ネットで少しずつ調べて、ほんの一寸だが、知識が増えた。

この複葉戦闘機はソッピース・キャメルといって、第一次世界大戦中に活躍したものだ。

複葉機を思い浮かべようとすると、何故か画面は粗い白黒。

しかもイギリスのもの、と来ると、やはり現実味はそれほど感じられない。

だから、純粋に、”飛行機”としてみる事ができ、気持ちも楽だった。

 

だが・・・ 今読んでいる本に登場するのは、零戦

第二次世界大戦中、最高水準を誇った、我が国の戦闘機。

幼少の頃から聞かされていたこの機に関する話、

メディアを通じて知る事柄、この機に関係した人々の逸話・・・

どれを取っても生々しく、金属で出来ていながら、体温を感じさせる。

単純に飛行機として見る事が出来ない・・・

 

私の年代からすると、父より少し年配くらい。

決して接点の無い世代ではない・・・

そんな人たちが、戦地に赴いていた。

中には、この零戦に乗ることを志していた人もいただろう。

ただ・・・終戦間際には帰って来ることの無い飛行を強いられた戦闘機たち・・・

 

今まで戦争をテーマにした小説を全く読んでいないわけではない。

第二次世界大戦ベトナム戦争を描いたものは幾つか読んだ。

でも、思い返してみて、日本の兵士達を描いたものは、1冊も手にしたことがない。

あの当時の青春群像映画を観ると、必ず気分が落ち込むというか、

やはり、命が散っていくことに対して、それが彼らの青春であったとしても、

爽やかさを感じるのは難しいし、”仕方ない”の言葉では済ませられない。

そこにどんな大義名分があったにせよ、

人が命を落とすことは、家族にとっては悲しみの何ものでもない。

 

そんな人々の未来を確約しつつ飛んだ戦闘機。

 

正直、段々と読んでいくのが辛くなってきている。

これから戦局が悪化し、若者が自分の命と引き換えに敵を討とうとする時期が来る。

今となっては歴史の一部、もう誰にも変える事は出来ない。

読めば読むほど、我が国の過酷な運命が近づいてくる。

 

早く終戦を迎えて欲しい・・・ 1人でも多く、家族と再会出来るように・・・。

 

変えられぬ歴史に向かって、心の中で叫んでいる。

早く、早くこの人を家族の元に帰してやって・・・

もう・・・これ以上空には飛び立たないで・・・

 

読み終わる頃、自分、どんな気持ちになるんだろう?