活字好きの本のお話

図書館や大好きな本の話、読んだ本の感想など、駄文で綴ってまいります。

スマホを置いて

自分が本にのめり込むようになったのは三十路を過ぎてからだ。

本を扱う事は好きでも、本を読むことはそれほどでもなかった。

本を読む時間があれば、旦那と遊んでたし、

結婚後は出歩く事が多くなった上に、

初めての結婚記念日を祝う頃には、お腹がだいぶせりでていた。

あっという間に子育て奮闘期に突入して、本どころの話ではなくなっていた。

 

先日も書いたが、そんな私の読書熱を発熱させた人と知り合った頃、

私は社会復帰後の慣れぬ生活に疲れきっていた。

朝7時前には家を出て、電車とバスを乗り継いで出勤。

帰りは、買い物後、走って子供達のいる保育園へ行き、

親子3人、ゆっくり30分掛けて、帰宅したものだった・・・。

復帰直後は、移動時間は全て睡眠に充てていたが、

次第次第と体も慣れて、その時間がとても勿体無く思えた。

教えて貰ったタイトルの本を、少しずつ読み始めて、読書熱を発熱した。

 

あの頃・・・体力が有り余ってたんだろうなぁ・・・。

一通りの家事をこなした後、ソファに横になり、眠気が来るまで本を読んでいた。

週末などは、徹夜で読むことも少なくなかった。

しかし、そういう無理を続けている内に、体が衰えるより先に、目がやられてしまった。

視力がガタンと落ちて、眼鏡を掛けても夜は霞んで活字が読めなくなった。

そして、今度はスタミナが切れるようになり、

読書時間は通勤途中だけ、と、極めて限られることとなってしまった。

 

去年の末、眼鏡を新調した。かなり度が進んでいた。

でも、お陰で夕方の霞み目から解放された。実に良い、視界がクリアだ。

しかし、なかなか自宅での読書の習慣が取り戻せない。

理由は一つ・・・ スマホ、という存在。

視界がクリアになって見えるようになったのは、活字だけでなく、

スマホの画面に映し出される絵や文字もそうだった。

スマホは・・・本当に退屈しない。でも電池の消耗は激しい、悲しいくらい。

 

先月くらいから、なるべく心がけて、スマホを遠いところに置くようにしている。

自分がやるべきこと、アナログな世界のこと、積み重ねが必要なことなど等、

そういう物事に時間を割くようにしている。勿論、読書も含まれる。

そうやって、少しずつ、読み進むスピードがアップしてきている。

昔と同じ、というわけにはいかないだろうが、何となく手応えはある。

 

良い作品とめぐりあう事もきっと拍車を掛けてくれるだろう・・・

でも、そんな他力本願みたいな事を考えず、本と向き合って行きたい。

紙の感触、インクの匂い、本でなくては感じられないものだ。

スマホを置いて、その代わりに手に掛かる本の重さを感じたい、と思う。