活字好きの本のお話

図書館や大好きな本の話、読んだ本の感想など、駄文で綴ってまいります。

旅立ってしまったあの人に・・・

先日、ネットニュースに出たある人の訃報・・・

何度も何度もその記事を読んで、一生懸命理解しようと思うのに、

全然頭に入らず、ただただ文字を追うだけになってしまった自分・・・。

 

お目にかかった事はないけれど、声と文字と絵で繋がっていた、

なんとも不思議な立場だった人・・・

知り合ったのは某チャットサイトで、たまたま話す機会があり、

そこで意気投合して、メールやメッセでやりとりするようになった。

話す内容の凡そ9割が本の話。

 

そう、私が三十路過ぎに読書熱を発熱した切っ掛けを作った人・・・。

 

仕事が忙しいはずなのに、本当に良く本を読む人だった・・・

それと同じくらい、よく酔っ払ってる人だった。

でも、どれだけ酔っていても、話す内容はしっかりしていた。

私はいつもペンと手帳を手元に置いて、次々と語られる本のタイトルを、

必死で書き落とさねばならなかった・・・

しかも、それはいつも真夜中過ぎで、話が終わる頃には、

東の空が白み始めていた・・・なんて事も多かった。

 

ポール・オースターの作品を表すとき、”漸近線”と言う言葉を使う人。

川上弘美の『センセイの鞄』の月子さんに憧れる人。

三島由紀夫の綴る日本語の美しさを知っている人・・・

 

早すぎますよ、58歳なんて・・・。なんでこんなに早く逝ってしまいますか?

 

今でも忘れませんよ・・・ 真夜中に近所のお花見スポットの路上からの電話。

『今ね、道路に寝転がって、桜を見てるんです。綺麗ですよ。』

酔っ払って、道に寝転んで、夜桜を見上げて・・・。

きっと花びらが貴方の上に降っていたはず・・・。

 

今はその桜の降ったもっともっと先の夜空に、旅立ってしまった。

 

今一度・・・呼んでみようかな・・・

 

りうさん、貴方は本当に無邪気で、自由な人でした。

いつも飲みながら電話してきて、本の話に夢中になり、

仕事の話で溜息をつき、お子さんの話で涙して、

奥さんへの深い愛情を語ってらっしゃった。

私は紹介してもらった本を読むのに必死。

でもそのお陰で、読書が凄く身近な事になってくれました。

実際にお目にかかった事がないから、りうさんが居なくなったこと、

今になっても実感がありません。

でも・・・ 『もう本の話が出来ないのか・・・もう、りうさん居ないのか・・・』

と思うと、胸がギューっと締め付けられるように苦しいです。

仕事でだけでなく、趣味でも本と向かい合える機会をくれた貴方、

感謝の気持ちをどう表現したらいいのか分かりません。

 

りうさん、ありがとう。

私はまだまだ本を読みます。

りうさんに教えて貰った作品も、そして、りうさんが知らない作品も。

ずっとずっと・・・本を愛して、生きますよ。

じゃぁ、いつもの挨拶ですよ。

 

りうさん、おやすみ。

おやすみ、りうさん。