活字好きの本のお話

図書館や大好きな本の話、読んだ本の感想など、駄文で綴ってまいります。

ここから芋蔓式に・・・と目論む

家には未読の本が山ほどあるのに、

本の情報が入らなくなると、何故か落ち着かなくなる。

頻繁に書店に足を運んではみるものの、

なかなか気に入った、目を引く、関心のある、

そういった本とめぐり合わない。

年末年始の色んな、うん、色んなゴタゴタで、

思考回路がブツ切り状態だったところに、

普段の生活の情報すら入らなかったのだから、

ましてや趣味の・・・いや、今の時点では道楽の本の情報など、

入る隙はなかったと言っていいだろう。

 

少しずつ・・・

本当に、自分を取り巻く季節のごとく、

少しずつ暖かくなって、春の気配を感じるようになり、

凝り固まっていた気持ちも、何となくほぐれてきて、

止まっていた自分の指も、1枚、また1枚とページをめくるようになった。

 

著者に対していい表現になるかどうか分からないが、

そんな状況の自分に、静かに、優しく、辛抱強く付き合ってくれたのが、この本。

 

博士の本棚 (新潮文庫)

博士の本棚 (新潮文庫)

 

著者が読んだ本を紹介するエッセイ。

彼女の作品は唯一博士の愛した数式、これしか知らない。

 

博士の愛した数式

博士の愛した数式

 

何年前になるだろうか、家族で旅行した際、

飛行機の中で、不覚にもボロ泣きしながら読んだ本だ。

母親として同じ視線で読むことが出来たので、更に共感できたのだろう。

 

話が少し逸れたが、その彼女が読み、感銘を受けた、

そして作家になることを後押しした作品が数多く紹介されていた。

全部の作品を思い出す事は出来ないが、

何度も繰り返し登場した、『アンネの日記』中国行きのスロウ・ボート

これらは当然記憶に残り、これから先の読書リストに加えておく事にした。

中でも、自分の関心を引いたのが、武田百合子著の2作品。

 

日日雑記 (中公文庫)

日日雑記 (中公文庫)

 

ことばの食卓 (ちくま文庫)

ことばの食卓 (ちくま文庫)

 

極ありきたりな日常を書く、

簡単に出来そうで出来ない、それは自分もある意味経験済みだ。

毎日のことをこうやってブログに書くことだけでも四苦八苦する。

ネタ探しに苦労する・・・面白おかしく、なんて考える。

でも淡々と過ぎ行く日々の繰り返し、その中にも、

何かキラッと光るもの、アクセントになるもの、切っ掛けとなったもの、

そういうものがあっていい筈で、それを記録しなかったら、

恐らく、一生思い出す事など出来ないんじゃないか、と思う。

本当に些細なことだ・・・ 夕べ、何を食べたっけか?とか。

 

言ってしまえば、ブログのお手本。

いやいや失礼なのは百も承知だ。

でも関心事は必ずしも外にあるんじゃない。

内側にも一杯あるんじゃないか・・・そう思った。

 

今回読んだ『博士の本棚』は、私の読書欲を刺激してくれた。

ここから芋蔓式に、新しい本と巡り合えることを期待したい。