活字好きの本のお話

図書館や大好きな本の話、読んだ本の感想など、駄文で綴ってまいります。

好きな雑誌


定期的に我が家に届く雑誌『ku:nel

サブタイトルに『ストーリーのあるモノと暮らし』とある。

確かに、この雑誌、季刊誌である分、

取材対象はかなり吟味してある風に感じる。

『モノ』とあっても、流行のものではなく、

古くから長く使われ愛着あるもの、つまり、

そこに各々のストーリーを持つモノが沢山登場する。

長く使われた台所、よく手入れされた庭、

職人の技を生み出す相棒たるさまざまな道具、などなど、

個性あふれるモノと共に、その背景を飾るお話が綴られている。


他所のブログ(現在お休み中…汗)で知り合った人に教えて貰ったこの雑誌、

講読するようになって数年になるが、毎回来るのが楽しみで仕方ない。

特に料理や調理器具など、自分の趣味のものが登場すると、

その使い込まれた道具の風合いや、今にも香って来そうな料理を、

この手で、この鼻で感じてみたいと思ってしまう。

でも…この雑誌のサブタイトルにあるように、彼らにはストーリーがある。

もし、私がそれに触れ、それを味わったとしても…自分のものにはなり得ない。

私には私のストーリーがあり、私の身の回りのものには、私と共に歩んだストーリーがある。

私が同じように使ったとしても、恐らく全く別物が出来上がってしまうんだろう。


使い捨ての時代、直すより買い換えた方が良い…そんなフレーズをよく聞く。

家電製品でさえも、寿命は何年、なんて作る側も思っているんじゃないだろうか?

昔はモノの作りも単純だった、だから修理が効いた。直す技を持つ人も沢山居た。

そんな時代に生まれ、機械化が進むのと一緒に育ち、

大人になって、身の回りのものが余りにも複雑で、自分では直すこともできなくなっている。

大事に使うことはとことん叩き込まれた。でも、それは予想された寿命一杯。

それを更に伸ばしてやる技術は、残念ながら自分にはない。


でも、エコやロハスといった時代の流れで、

手仕事や自然なものに回帰する流れがある。この雑誌にも感じられる。

自分が探していたもの、自分がやりたい何かが見つかるような気がして、

いつもウキウキしてこの雑誌を読んでいる。 正直、癒されている。


先日、新しい号が届いた。今回の特集は『布』

仕事の関係上、布のことも色々と勉強させて貰った。

特に、今、職場でやっている展示は、布に関係する『織機』がテーマ。

色んな手を経て、色んな機械が動かされ、

経糸と緯糸という至って単純な組み合わせが、とんでもなく複雑な模様を生み出す。

そうやって生まれた布、よくよく考えれば、私達の生活にはなくてはならない存在だ。

かれらを振り返る今回の『布』の特集、じっくり時間をかけて読みたいと思う。


ku:nel (クウネル) 2012年 11月号 [雑誌]

ku:nel (クウネル) 2012年 11月号 [雑誌]