活字好きの本のお話

図書館や大好きな本の話、読んだ本の感想など、駄文で綴ってまいります。

読了できた

やっとのことで読了した『レッド・ドラゴン』上下巻。

 

レッド・ドラゴン 決定版〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)

レッド・ドラゴン 決定版〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)

レッド・ドラゴン 決定版〈下〉 (ハヤカワ文庫NV)

レッド・ドラゴン 決定版〈下〉 (ハヤカワ文庫NV)

 

トマス・ハリスの映画は『羊たちの沈黙』『ハンニバル』の2本を既に観ていたが、

原作を開くのは今回が初めてで、どういう描写でこのシリーズが描かれているのか、

そこがやはり興味あるところだった。

私自身、ミステリーは好んで読むが、所謂ホラーとか猟奇的なもの、

サイコパスが登場するようなものは、今まであまり手にすることはなかった。

犯罪心理学には何となく興味を示しているくせに、なんとも微妙な線引きをしていたようだ。

 

羊たちの沈黙』を観て、プロファイリングという言葉を知った。

そして犯罪におけるその仕事の役目や従事するものの葛藤なども知った。

やはりこの映画においてはプロファイラーの存在が重視されている気がする。

それに比べ今回の『レッド・ドラゴン』は、圧倒的に犯人であるダラハイドの登場が多い。

勿論、このシリーズの主軸であるレクターや、

プロファイラーであるグレアムも存在感をアピールしている。

しかし、今回は犯罪者の背景や願望、ふとしたことから生まれる心の苦しみなど、

その変化に捜査する側が追随しているような、そんな気がしてならなかった。

勿論、グレアムの潜在的な能力が、単なる追随から追い詰めへと変わっていくのだが。

 

犯人・ダラハイドが魅了される”赤き竜”(レッド・ドラゴン)、

これが描かれているウィリアム・ブレイクの『大いなる赤き竜と日をまとう女』は、

パッと見て、正直幻想的というより、背筋が寒くなるような絵だ。

この竜の姿に無限の力を感じたのだろうか・・・? 私には一寸理解し難い。

ただ、この絵を目にする度、なんとも言えない、吐き気のようなものは感じる。

威圧されているというのか、兎に角、気持ちはよくない。

そう感じるのも、この絵の、良い言い方をすれば魅力なのかもしれない。

 

話の始まり部分では、男性ばかりなのに、

要所要所で鍵を握るのは、女性だった。これも注目すべき点かと思う。

絵に描かれているように、女が竜に立ち向かっていく・・・ これも関係するのだろうか?

 

最近の読書ペースにしては、結構良いスピードで読めたと思う。

読み終わって一寸ホッとした気分だ・・・ 話は決してハッピーエンドではなかったけれど。

気持ちが少し楽になったところで、次に読もうとしてるのが、またもやトマス・ハリス

今度は原点に立ち返るこの作品。

 

ハンニバル・ライジング 上巻 (新潮文庫)

ハンニバル・ライジング 上巻 (新潮文庫)

ハンニバル・ライジング 下巻 (新潮文庫)

ハンニバル・ライジング 下巻 (新潮文庫)

 

暫くはレクター博士の世界にドップリ。