活字好きの本のお話

図書館や大好きな本の話、読んだ本の感想など、駄文で綴ってまいります。

無関心ではいられない


現在開いている『本当の戦争の話をしよう』のテーマ、
つまりベトナム戦争に関してですが、
自分が生まれるか生まれないかの時代の、
しかも自国外で起こった戦争の話、
自分が物ごころついた頃には、既にそれは終結しており、
誰かから、何かのメディアから教えられることもなく、
単なる歴史の教科書のページ上に綴られている事柄、
そういう認識しか持っていない、
そう、私はまさに”戦争を知らない世代”です。


しかし、1980年代半ば、
ベトナム戦争20周年を機に起こった様々な運動は、
リアルタイムで感じ取る事が出来ました。
様々なベトナム戦争を取り扱った映画、
特に、オリバー・ストーン監督の『プラトーン』は衝撃的でした。
この映画をノベライズした二見文庫の『プラトーン』も拝見しました。
音楽界では、当時出兵した兵士たちの平均年齢が、
僅か19歳だった事を歌った『19』がヒットするなど、
ちょっとした反戦ムードの中で、多感な時期を過ごしました。


戦争と言う言葉は、”受験戦争”くらいにしか使われない、
過去には色んな経験をした国の民なのに、
戦争とは何かを知らぬまま、ボンヤリと生きてる自分と
大して年嵩の変わらぬ者が、あの当時、
何のための戦争なのか曖昧なままで、
ベトナムという戦地に赴いていた事…
密林や高湿度が生み出す独特の環境と雰囲気、
連日連夜の緊張や、凄まじい戦闘を体験することから、
次第に心が蝕まれていく様子、
人間が人間らしさ・理性を失って狂気に目覚める瞬間…


ベトナム戦争に限らず、
他の世界で起きた数々の戦争の話を見聞きするにつけ、
これが現実だとは、直ぐには受け入れられませんでした。
知らなければ良かった、とさえ思いました。
しかし、あってはならない事を語り継ぐためには、
あってはならない事が実際に起きたという事実を、
心に留めておかねばならない、そう思いました。


あの戦争の政治的な事はあまり問いたくありません。
ただ、どんなに優れた理論を展開しようと、
戦争を正当化できるわけがないです。
国を守る為に多少の犠牲は止むを得ない、
なんて考えてる国が、国を、民を守れるとは思えません。
民を危険に晒す元首などいてたまるか、と思います。


でも、居ますよね、現実に。


私は、思想とか主義とか、
そういう難しいものはあまり持ち合わせていません。
人間から人間らしさを奪い取ってしまう戦争が嫌いなだけです。
必ずどこかで誰かが涙を流さねばならない戦争が嫌いなだけです。
そして、扇動する本人が、ふんぞり返って戦況を見ているだけの、
そういうふざけた事態が赦せないだけなのです。


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(2010年3月15日記載)