活字好きの本のお話

図書館や大好きな本の話、読んだ本の感想など、駄文で綴ってまいります。

回転の速さ


和書と洋書の発売の仕方、
特にハードカバーとペーパーバック(和書で言うと文庫や新書)、
この2つの装丁の書籍の出版の仕方が微妙に違います。


洋書の場合、簡単に言うと、
豪華版と廉価版として出版している事が多く、
そういう意味で、ほぼ同時、もしくは1年くらい開けることが多いようです。
その中でも更に廉価なシリーズに鞍替えするものもあります。


和書、特に文芸書などの場合、
ハードカバーが出版されて、暫くは文庫化されることはありません。
今はどうかわかりませんけれど、一昔前ならそのスパンは3年前後・・・
そういう風に仕事をしながら感じていました(注:元書店店員です)。


良い作品はやはり早く手にしたいものです。
しかし、以前にも書きましたように、
私は装丁等の好みがはっきりしている為、
ハードカバーで買うのには物凄く躊躇してしまいます。
文庫化されるのをひたすら待つわけですが、
最近、文庫化される時期が曖昧になっているので難しい・・・。


私の感覚では、文庫はコンパクトで場所をとらない分、
長期にわたってストック可能、勿論販売期間も長い、というか、
ほぼ常備できるものと考えていました。
しかし、文庫にも売れ筋とそうでないものがあり、
文庫が絶版になるなんて事態もあるわけです・・・。
しかも、その絶版に至るまでの期間が、非常に短い・・・
気が付いたら、重版未定・絶版、なんて文字が、
すぐ目に飛び込んでくることになります。


それがきまって、自分の好みの文芸作品とかだったりするんです。
これがどれだけ寂しいことか・・・


出版社の意図は私には分かりません。
ビジネスと言ってしまえば、全て片が付く問題なんでしょう。
でも、こんなにアッサリと・・・は、無情です。


これだけ出版の回転が速いということは、
物凄い数の本が生まれ、そして物凄い勢いで、
多くの本が消えて行っている、という意味ですよね。
本ってそういうもんなんでしょうか?
簡単に読み捨てられたりすべきものなんでしょうか?


時代の変化と共に、物事の変化も著しく加速しています。
アナログな筈の本までもが、その煽りを受けているのかな・・・
そう思うと、少し危機感を感じたりします。


(2010年1月29日記載)